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【流れ着いたふるさと】熊本県南阿蘇村「万福小屋 どんぶらこ」のたこ焼きに心がほぐれていく。

世界中を旅した夫婦が移住した“ふるさと”。人々の憩いの小屋。

ここは、熊本県南阿蘇村。雄大な山々とのどかな原風景が広がる村です。
この景色を横目に見ながら県道28号線をひた走ると、「万福小屋 どんぶらこ」が見えてきます。

ここは、南阿蘇村で唯一のたこ焼き屋さん。世界中を旅してきたというご夫婦が、震災の翌年にオープンしたお店です。

南阿蘇村を選んだ理由は、この風景。「自分たちが納得した場所に腰を据えたい、という思いがありました」と店主の山口雄大さんは話します。
2015年に移住したご夫婦は、なんと旅館やホテルで住み込みで働きながら、自分たちで住む家を探し、自分たちでリフォーム。でも、そんな田舎暮らしが楽しくて、毎日充実していたそうです。
ようやくここから新しい人生が始まる。
その矢先に起きたのが、2016年の熊本地震でした。

手を入れたばかりの借り家は半壊。村の主要道の復興もすぐには難しく、一時は南阿蘇を離れ、他県に身を寄せました。しかし、良くしてくれたご近所の人々が気がかりで、いてもたってもいられず10日ほどで南阿蘇へ戻ってきたのです。
そこで、震災で村を離れた人や、傷ついた人々にとって憩いの場所を作りたいという思いから、たこ焼き屋を開店することにしたのだそうです。

「店名の『どんぶらこ』は、ふらふらと世界中を旅した僕たちにぴったりだなと思って(笑)。今ではたくさんの常連さんが来てくれたり、観光客の方も気軽に寄ってくれたりして、ありがたい限りです」と話す山口さん。
「最近どう?お孫さんは元気にしてる?」「あれ、久しぶりだね~!このあいだ、あの人が来てくれたよ」。取材中も、近所の人が続々と訪れ、世間話に花が咲いていました。

大玉たこ焼 ¥500
ネギマヨたこ焼 ¥600

たこ焼きは、出汁のやさしい味を感じてほしいという思いから、紅ショウガなどは入れずシンプルな生地に。熊本県産の無添加菜種油をたっぷり使って、こんがりと焼き上げています。
他にも南阿蘇のオーガニック玄米コーヒーや、焙煎したてのハンドドリップコーヒーなどもあるので、ドライブの途中に景色を眺めながら一息つきたいときにもおすすめです。
個人的にはコーヒーを片手に南阿蘇の風景を見ていると、一息つくどころかなにもしたくなくなります(笑)。

「昔ながらの空間で、コミュニケーションの場として利用してもらえたら」と山口さん。
どんぶらこ、と流れ着いたふるさとで、今日も人々を笑顔にしています。

万福小屋 どんぶらこ
熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陰4510-4
080-6452-0111
10:00~19:00
木曜、第1・3水曜休

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