編集だより

【文字は心を宿す】比叡山延暦寺・国宝殿の「叡山学院 墨跡展」に行ってきました。

当時の書家に思いを馳せ、敬意を払い、心を宿す。

昨秋のことになりますが、比叡山延暦寺にて開催された「叡山学院 墨跡展」に行ってまいりました!

秋の延暦寺。とってもよかったですよ。

国宝殿では、叡山学院の学生さんたちによる書のお披露目と合わせて、特別展示「浄土院の仏画・祖師の御影を偲ぶ」も開催中。天台宗の祖である伝教大師からずっと守り継がれてきた仏像や仏画、書なども見ることができました。

今回、取材にご協力してくださったのは、こちらの方。

愛知県北名古屋市にある高田寺の柴田憲良さん。書と、声明(しょうみょう・法要の際に唱えられる声楽の一種)の達人です!
ご自身の書かれた「般若心経」について、ご解説を賜りました!

なんと、美麗な文字なのでしょう。墨のにじみや筆の運びがかたちづくる一文字一文字に、丁寧さと思いを感じられます。
余談ですが、実は…。光田は書道八段。昔取った杵柄ですけどね。
なのでこの日も、解説を聞きながら文字の細かな部分に目が行ってしまいました。

柴田さんによれば、この書はあの有名な中国の書家「王義之」の『集字聖教序』という書を手本にして書かれているのだとか。

「三蔵法師の功績を唐の太宗が称賛した『大唐三蔵聖教序』と、則天武后の旦那さんとして知られる高宗が遺した『述聖記』。この2つを指して『聖教序』というのですが、これらはもともと壁の両面に彫られていたんです。それらをのちに合体させ、王義之の『心経』を追加したものを、『集字聖教序』というんです」

なるほどなるほど。確かに、昔の書物などはそうやって後世の人が集約していくことで纏まり、遺されていくんですもんね。柴田さんの書はその般若心経の部分をお手本にされて、書き写されたもの。
この一枚を見るだけでもなんだか壮大なロマンを感じるのは、私だけでしょうか。

そんな中でも、柴田さんなりにアレンジを加えて、思いを込めた文字もあったりするのだとか。

止め、はね、はらいなど、古物に忠実に。しかし、今この書を前にした自分の思いも文字に込めて。
こうして、文字は人の思いを宿し、書として遺され、継がれていくんですね。

書の談義に花が咲く~。

文字や言葉には心が宿ります。私も、丁寧に言葉を紡いでいこう。
そして、やっぱり書道好きだなー。また習い始めてみようかな?それでなくても、普段ちょっとしたお手紙や宛名など、思いを込めたいときに筆をとってみよう!
皆さんも気軽に“書”に触れてみてはいかが?

そして高田寺さんでは、今年11月20日~23日「開祖1300年記念 御本尊秘仏薬師如来特別御開帳」が行われます。
ぜひ足を運んでみてください!

医王山高田寺(いおうざん こうでんじ)
愛知県北名古屋市高田寺383
tel: 0568-21-0887
http://www.koudenji.net/

Text:光田さやか
Photo:荻野哲生

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