<第3回>“会話で呼吸”する。光田流・ビジネスマン5つのメソッド――光田寛和

流儀その3.「上司や部下をマネジメントせよ」

上司や部下がいる職場で働く人は多いと思う。上司からの指示に困惑したり、後輩の育成に悩んだり…と、頭を悩ませることもままあるだろう。光田さんに、そんなときの立ち回りを聞いてみた。

「まず部下に対してですが、 “スキルの有無”と“やる気の有無”をクロスさせて4象限で考えるんです。そして自分の部下を冷静に見つめて、相手がどのポジションにいるかを考える。でもこれは、なにも『できる・できないを分ける』ということではありません。ポジションによって接し方を変える必要があるからです

「僕の実践してきた方法ですが、
①スキルもやる気もある人には背中からちょっとだけアドバイスする。いわば天才イチローのバッティングを網越しに見ながら、少し言葉を添える仰木監督、のようなものですね。こういう人はいちいち言わなくても自ずとチームプレーするんです。
②スキルはあるけどやる気に乏しい人は自己都合で専行するリスクがあるので、任せる体を保ちながらも、毎日具(つぶさ)に報告させました。組織としての軌道から外れないようにするためです。
③スキルは不足してるけどやる気がある人には、見せてみせ・やってみせ・やらせてみせ・・・つまりOJTですね。
④最後に、スキルが不足してるのに、やる気もない人は、一度怒鳴ります(笑)。そこでどう変化するかを見ますね。③になれば御の字ですが」

また光田さんは、若手への「権限委譲」も効果的だと話す。この取引先は君に任せる、と上司の権限を委譲されることで 本人は自ら能力を高める。取引先にとっても、未来を感じる若者のほうが商談しがいがあるため、結果ビジネスにとってプラスに働くことがあるというのだ。「ただしその際、時間とお金の管理は上司がすべき」と光田さんは付加した。さらに、重大な契約のときは若手一人で会わせないようにすることも大切なのだという。 ビジネスには勢いも必要だが、老獪さや熟練さが必要な場面もある。若手はどうしても脇が甘いため、相手に言いくるめられたり、こちらに不利な条件になったりすることを防ぐためだ。

「何かあったら報告しろ、と言いたくなりますが、あえて言わないのもありかもしれません。『情報』は「情けに報いる」と書きます。常に部下に情けを持って接していれば、報告とか連絡とか言わずとも、自分から知らせてくれると思うからです。日頃からよく会話をして、そういう関係性を作っておくことが大切だと思います

また、こんなエピソードも聞くことができた。

「それに付随して、僕は社内の人づきあいのモットーを『(務めて)仕事に厳しく、(努めて)人に優しく』としています。仕事に厳しくすると人としても辛くあたりがちですよね。仕事にも人にも優しかったら職場はゆるゆるでどうしようもない。しかし、仕事でどうしても厳しく接しなければいけない人でも、実はプライベートでは豊かな生活経験や社会貢献活動、多彩な趣味などで、人として魅力がある場合があります。職場の姿はほんの一面。そう自覚して接することが『人に優しく』という思いです

光田さんは、若くして部長職に就いた時、パソコンも十分にできない大先輩を部下にし、とても辛く当たったことがあるという。ある休日の早朝、その先輩の友人に呼び出され、光田さんは某小学校の校庭に連れていかれたそうだ。そこで目にしたのは、日頃辛く当たっていたその先輩が、少年野球の監督としてノックのバットを持っている姿。会社では見せたことのない生き生きとした表情や、少年たちに向ける優しい笑顔をネット越しに見ながら、光田さんはなぜか涙が止まらなかったという。
心底申し訳なかったと思った光田さんは、その期末の人事異動で、パソコンスキルの要らない接客コンサルへの異動を勧めた。
それが、光田さんができる彼への「優しさ」だったからだ。

部下を知り、部下をマネジメントする。自分の下で働かせるのではなく、自分の権限を委譲して任せる。しかしその底辺のあるのは「仕事に厳しく、人に優しく」というモットーだったまずはそのための関係性を構築することに意識を向けることが大切なのだ

実は、上司もマネジメントすることができるんですよ。海外のビジネスシーンでは一般的なのですが、重役には優秀なセクレタリーがついている。自分も、上司にとってのセクレタリーになればいいんです

上司の“秘書”となって動く。一歩先を読んだ行動や、心配り、気配りがそれにあたるのかもしれない。ただ言いなりになるのではなく、その前に「この人ならこう言うだろう」「この人はこうされることを望んでいる」とマインドを変えてみるといいと光田さんは言う。
社内の円滑な人間関係のために、上司や部下をマネジメントする力をつけたいところだ。

人との会話を根本にしながらビジネスを展開してきた、光田さんらしいメソッドの数々。
しかし次の回では、少し視点の変わったビジネス論を聞くことができた。

<第4回に続く>

2 件のコメント

  • とても共感します!仕事に厳しく、人に優しく、本当にそう思います^_^
    常に部下に任せるところ、情けをかけるところ、おっしゃるとおり、コミュニケーションは何より信頼関係ですね。
    それがなければ会話をしても意思疎通はできないですね。
    光田さんのお話、とても実感します^_^

    • 日高様

      コメントありがとうございます!
      コミュニケーションや信頼関係。すぐにできるものではありませんよね。
      ちいさなきっかけをつくり、積み重ねて、相手のことをわかって、受け入れていく。
      そのためにはやはり、光田さんのように「会話」が大切なんだと思います。
      そうしてできた信頼関係の先に、意思疎通や意味のあるやりとりが生まれるのかもしれません。
      改めて考えさせられる貴重なご意見をいただき、ありがとうございました^^

      光田

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