ぬくもりを感じるレストラン。
愛知県大府市にあるイタリアン「La Farfalla」。多くの人はここを“隠れ家イタリアン”と形容する。そこだけ聞くと、格式高く、肩ひじ張ったスタイルのイタリアンを想像する人もいるだろう。熱田神社の参道沿いにあるという立地や、昼はメインのランチが2種類のみ、夜に至っては決まったメニューがない、というスタイルも、もしかしたらそう思わせる材料なのかもしれない。
しかし、待ってほしい。そう決めつけるのは、小さな庭を抜けた先の扉を開けてみてからにしてはどうだろうか。店内に入った瞬間、どこか家庭的で温かな雰囲気が、あなたを包み込んでくれるからだ。
スープ一杯にも心配りを。
小さな、エスプレッソ用のカップに注がれた温かなスープ。このかわいらしい一皿にも、オーナーシェフ・永井みゆきさんによれば、出し方や具材のこだわりが詰まっている。具の切り方や器を、その日の気候やお客様の様子によって変えているそうだ。
前菜もしかりだ。一皿で何種類もの個性を楽しめるが、どれも「これはこうしなくてはならない」というキマリゴトのように作られているのではない。ある食材を、あるように。その食材が一番輝ける状態で調理しているのだ。野菜は、地元産のものや店の隣で自家菜園しているものを使うようにしているという。素材にに心配りをしているからこそ、それが一皿一皿にも表れているのだろう。
大府、東京、イタリア、そして大府へ。
店内には、笑顔の写真があふれている。 イタリアでの修行時代や、ファルファーラのワイナリーツアーで現地に行った時のものなのだそうだ。 大府出身の彼女は、 東京御茶ノ水にあった人気店の総料理長・谷本英雄氏に師事、その後単身イタリアに渡り各地方のレストランで修業。
イタリア語も満足に話せないみゆきさんだったが、持ち前の明るさと熱意で、その道を追求した。
そして帰郷。
2003年、大府市に店舗をオープンし、彼女の修行した北イタリア・ボローニャ地方の料理をメインに、繊細でどこか心温まる料理を提供している。
楽しい時間を共有すること。
「私はお客さんが楽しんでくれるのがなにより嬉しいし、その空間を私も一緒に共有したいなと思っています。
ご予約の際にお客さんのお好みを伺ったり、お店での何気ない会話の中から『こんなものが食べたいな』というご希望を聞いたり、逆においしい食材が入ったときなどは『これをこう使おうと思いますが、どうでしょうか?』と提案してみたり。私はそれをできるかぎり叶えられるようなお料理を作っていけたらいいなと思います。そして、ここでのお時間をゆったりと気兼ねなく過ごしていただけたらとてもうれしいです」
素材選びも、調理法も、雰囲気作りも、おもてなしも。
ここにいて楽しいと思ってもらうことを大切にしているみゆきさん。
いつまでも料理を待っていたくなる。いつまでもここに居たくなる。大切な人を連れて何度も来たくなるのは、そのせいなのかもしれない。
また、そういった女性ならではの優しい気配りが随所に感じられるからこそ、ファンが足しげく通い続けるのだろう。
その、ある種の「気取らない上品さ」が、彼女と彼女の店の魅力なのだろうと思った。
La Farfalla(ラ ファルファーラ)
大府市朝日町4-15
0562-44-7775
11:30~13:30、17:00~(L.O.21:00)
日曜、第1・3月曜休
要予約
Pあり
https://farfalla.in/
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