「スパイス、足りてる?」

この問いかけに、あなたならどう答えるだろうか。
料理に使う、調味料のスパイスだ。日常的なシゲキ(!)のそれではない。
種類も多く、名前も複雑で、どう取り入れたらいいかわからないとお悩みの“スパイスビギナー”に、からだが喜ぶスパイスの話をお届けしよう。

スパイスは漢方に同じ。体調に合わせて使用。

ナゴヤの夏は暑い。どうにもこうにもスパイスカレーで汗をかきたくなって、名古屋市中区でスパイスカレー専門店を営む『カリーみよし』を訪れた。

店頭のカウンターには、たくさんのスパイスが並んでいる。色とりどりで香りもさまざまなそれらには、一体どんな効能があるのだろうか。店主の三好真太郎さんに尋ねてみた。


「消化作用を助けたり疲労回復や整腸作用があったり、体を温めて免疫力を上げたり…。いろんな効果や効能があります。言ってみれば、漢方と同じですね。スパイスは、葉っぱや実、根っこなんかをすりつぶしたり乾燥させたりして作られています。スパイスカレーというと、ただ辛いだけと思うかもしれませんが、自分の体調に合わせて組み合わせて、薬のように使うといいですよ」

カレー以外にも幅広く使えるのが、スパイスのいいところだと三好さんは言う。カルダモンやシナモンはクッキー生地に混ぜて、クローブは牛乳を煮立たせてチャイ仕立てに。少しクセのあるクミンも、オリーブオイルと塩に加えれば、いつものサラダがエスニックな風味に仕上がる。日常に、もっと気軽にスパイスを取り入れてもいいのかもしれない。

加えて、スパイスには粉末状になったもの(パウダー)と、形状を留めている状態のもの(ホール)の2種類がある。「粉末状のものは、調理の最後の方に味を調える感じで使うといいと思います。水に溶けやすいので、ヨーグルトやお茶に入れるのにもおすすめです。ホールは、調理の最初の行程で加えることが多く、香りや成分をしっかり抽出したいときに使います。あと、つぶつぶとした食感を楽しみたいときとか。パウダーとホールの使い分けができたら、スパイス料理がもっと楽しくなりますよ」と三好さん。スパイスの数々は大型スーパーをはじめ、エスニックフーズマーケットなどでも購入できる。それらの味わいの違いを、まずはじっくりと確かめてみたい。

病気になり変わった価値観。からだにいいものはからだが知る。

『カリーみよし』のオープンは2018年。そのきっかけが自身の病気だと、三好さんはあけすけに話してくれた。

「心筋梗塞だったんですよ。それまで健康そのものだったのに、急にです。これまで2回ほど発作が起きたんですが、2回目のときは家族もいたし、嫁さんに心配もかけられないので、これまでちょっと無茶してきた生活を見直すようにしました」

 畑で野菜をつくったり、海の家で働いたりと、今までは好きな土地で自由気ままな生活を送ってきたと三好さんは話す。しかし2度の発作を機に、自身の体を気遣うようになり、漢方やスパイスの効能について調べ始めることに。スパイスの一種であるフェネグリークが心臓疾患にいいと聞き、スパイスカレーを一から学ぶことにしたそうだ。
 もともと料理が好きでスパイスカレー作りの経験があったことと、自分自身が被験者であること。この2つの条件が重なり、スパイスカレーへの興味はどんどん深まっていき、お店を出すまでになった。

 三好さんの作るカレーには一切の妥協がない。添加物はもちろん不使用、野菜やスパイス類は自身が見て直接仕入れる。添え物のピクルスも、漬け液から自家製だ。このこだわりと、からだに優しく染みていくような味わいが評判を呼び、毎日外に行列ができるほどお店は混雑するが、自分以外のスタッフに調理を任せることはないという。同じスパイスを同じだけ入れても、ちょっとした火加減や水加減、具の大きさなどでも味が変わってしまうからだ。すべては健康のため、からだのため。からだが喜ぶものこそからだにいいのだと信じて、三好さんは今日もカレーを煮込む。

 店のメニューは、クリーミーな味わいにフェンネルの香りがほんのりと乗っかる「ココナッツミルクチキンカリー」、あっさりとした鶏ひき肉とゴボウが豊かな食感を演出する「鶏キーマ豆カリー」に、三好さんが思いつきで考案する「季節のカリー」の3種。

「うちのカレーを食べて、こんな食材がカレーに合うんだ!と思ってもらえたら。こちらも、どんな食材がどんなスパイスと相性がいいか常に考えて、新しい味を考えています。スパイスカレーは、自分にとって薬だから。まだまだ、楽しくやらせてもらいますよ」

 たまには、疲れた自分を労ろう。スパイスカレーは優しく癒してくれるはずだ。

カリーみよし
名古屋市中区千代田3-18-16
TEL 052-212-7614
11:30〜14:00、18:00〜21:00
(水曜はランチ営業のみ)
木曜休

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