編集だより

碧南が誇るにんじん娘・永井千春さんにインタビューしてきました。

碧南鮮紅(せんこう)という品種の人参

土地に寄り添い生きること。

矢作川の下流にある愛知県碧南市。堤防下に広がる砂地(沖積低地というのでしょうか)で農家をしている永井千春さんにインタビューしてきました。
千春さんのひいおじいさんの代からこの土地で人参を作り始めたとのこと。
なんと大正時代か昭和初期からこのあたりで農業をはじめたという記録が残っているそうです。

あたり一面には、見渡す限りのにんじんちゃん。手塩にかけて育てたにんじんたちに囲まれて、畑の中でインタビューを開始。
終始ケラケラとよく笑う千春さん。収穫した人参を片手にこの土地や人参についてお話を伺いました。

土地の成り立ち大好きなカメラマン荻野はライター光田よりも食いついて質問。
ここから荻野が聞いたマニアックな質問についてやりとりをご紹介。

荻野「なぜ、この土地で人参をつくりはじめたのでしょうか?」
永井千春さん「人参は土の中に伸びて育てたほうが、美味しくなり、大きく長いものが甘さも均一になるんです。
そのため、粘土質の土ではなく、砂地のように柔らかく土の中に伸びやすい土地が適しているんですよ。
例えば、粘土質のところで育てると、土の中を頑張って伸びようとするので寸胴な人参ができてしまいます。
味も濃くなりすぎてしまうんですよね」

荻野「畝が高い(20cmぐらい)と思うのですが、なぜですか?それに畝の幅が広い(1mないぐらい)ような?」
永井千春さん「高畝という栽培方法で、人参が伸びる時期に温度を下げすぎないようにするためなんだそうです。畝を高くして、陽の当たる面積を増やすことで地面を温める、という工夫をこらしています!
植えるときも、幅の広い畝に4列ほど種を撒いて収穫量を増やしつつ、隣の人参との隙間を無くすことでにんじん1本あたりが大きくなりすぎるのを防ぐ効果もあるんです。その方が美味しく育つんですよ!」

大きくなりすぎず、かつ見た目も美しく、美味しい人参を育てる。農業の考え方はいろいろあって面白いです。
ちなみに一反から5トンも人参が作れる時があるそうですよ!5トンて!

人参談義。育てている間は、かわいいね〜と声をかけるそう。

農家として生きる。命を育むこと。

また、永井さんのところではF1種(1世代交配)を使っているというお話も。
昨今の市場では、形と大きさが揃ってないF1種ではやはり売れないのだそうです。F1種でもそうでなくても味は変わらないけれど、形が良くないと一般の方はどんな料理に使っていいかわからず買いにくいのかもしれませんね。
売れないと農業はできなくなるし、かと言って自分たちで種を残していくと、とんでもなく値段の高い人参ができてしまい、それはそれで売れないということになってしまうのかもしれないですね。

農業って大変だ。苦労して命を育てているんだなと実感しました。
食に感謝していただきたいと思います。

余談ですが、人参の品種に「八事五寸(やごとごすん)」や「碧南鮮紅(へきなんせんこう)」、「へきなん美人」という名前がつけられており、なんだかカッコいいなと思いました。
特に「碧南鮮紅」なんて、響きだけ聞いていると戦隊モノの技の名前に聞こえてきました。
「くらえっ!ヘキナンセンコーーーー!!」って。
はい、失礼しました。

人参を収穫させていただきました。

千春さんの熱い思いに迫る。

ほんわかした雰囲気をお持ちの千春さん。インタビュー中に人参のことを語る時は机を壊さんばかりに興奮して熱く語る一面も見られました。
碧南で取れた人参は全て「碧南人参」という名称で市場に出回るなか、千春さんは人参の品種を独自にブランディングして販路を拡大されました。
インタビューでは、独自にブランディングを行っていった過程をお伝えしていきます。

次回からは、「にんじんちゃん」と呼ばれるまでの千春さんの半生をお伝えしていく予定。
お楽しみに!!

【インタビュー記事アップしました!!】
下記、リンクよりお読みいただけます。
どのようにして人参をブランド化していったか!お楽しみくださいませ。



photo・text:荻野 哲生

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